親しみやすく接したつもりが、失礼な人だと思われた。
オンライン会議で真剣に話を聞いていたら、怖い印象を与えていた。
何度か予定を変更したら、自分との約束は優先順位が低いのだと思われていた。
自分では、そんなつもりはなかった。それなのに、相手には違う意味で受け取られてしまうことがあります。
一方で、私たち自身も、相手の何気ない言葉や行動から「この人はこういう人なのだろう」「自分のことをこう考えているのだろう」と感じることがあります。
人は何を手がかりに相手を判断し、そこからどのような人物像をつくっているのでしょうか。
自分の意図と、相手の受け取りは同じ?
伝えたかったことと、伝わったこと。
自分がどのように振る舞うかは、自分で選ぶことができます。
しかし、その振る舞いが相手にどのような意味で受け取られるかまで、決めることはできません。たとえば、こんな場面があります。
親しみやすく接したつもりが
自分:距離を縮めたい。
相手:馴れ馴れしい。失礼な人だ。
真剣に話を聞いていたのに
自分:きちんと話を聞こう。
相手:表情が硬くて、少し怖い。
予定を変更することが重なって
自分:今回は都合がつかなくなった。
相手:自分との約束は後回しか。
もちろん、相手が必ずこのように受け取るわけではありません。関係性や状況によって、受け止め方は変わります。
大切なのは、自分の意図だけでは、相手がどのような印象を抱くかを説明しきれないということです。
言葉だけで、相手に伝わるわけではない
「何と言ったか」と「どう伝わったか」
「大切に思っています」と言葉で伝えていても、表情や声の調子が冷たければ、相手は言葉どおりに受け取らないかもしれません。
言葉では好意を示しているのに、表情や声からは拒絶されているように感じる。そんなふうに、伝えられた情報がちぐはぐになることがあります。
このような場面を考えるときに、よく知られているのが「メラビアンの法則」です。
ただし、この法則は「見た目が大事で、言葉は7%しか重要ではない」という意味ではありません。もともとの研究は、感情や態度について、言葉の内容と声の調子、表情などの情報が矛盾したとき、受け手がどのように判断するかを扱ったものです。
つまり、どのような場面でも視覚情報が言語情報より重要だ、という話ではありません。
注目したいのは、言葉で伝えた内容と、それ以外の情報が食い違ったとき、言葉だけでは意図が伝わらないことがあるという点です。
言葉を整えることは大切です。しかし、言葉だけを見ていても、実際のコミュニケーションを十分に理解できないことがあります。

人は、行動から何を読み取るのか
相手の行動を見て、その人の意図まで考える
人は、相手の言葉や行動をそのまま受け取るだけではありません。そこから「なぜ、そうしたのだろう」「自分のことをどう考えているのだろう」と、その背景まで推測することがあります。
たとえば、約束の時間に少し遅れた人がいたとします。
一度だけなら、交通事情や急な用事があったのかもしれません。しかし、遅刻や予定変更が何度も重なれば、「自分との約束は大切にされていないのでは」と感じる人もいるでしょう。
本人に相手を軽視する意図がなくても、相手は目に見える行動を手がかりに、見えない意図を推測します。
ここで考えたいのは、遅刻がよいか悪いかということだけではありません。
人は、目の前の行動から、どこまで相手の気持ちや考えを読み取っているのか。
そして、その推測は、いつも相手の実際の意図と一致しているのでしょうか。
行動の意味は、行動そのものだけで決まるわけではありません。過去のやり取りや関係性、その場の状況も、受け取り方に関わっています。
自己呈示は、自分をよく見せること?
意識して見せる自分も、意図せず伝わる自分もある。
「自己呈示」という言葉から、自分をよく見せたり、相手に与える印象を意識的に整えたりすることを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、信頼できる人だと思われたい、親しみやすい人だと感じてほしいなど、相手に与える印象を考えて振る舞うこともあります。
一方で、自分では特に意識していない言葉や態度も、相手が人物像をつくる手がかりになります。
自分が伝えようとしたこと。実際に表現されたこと。相手がそこから読み取ったこと。
この3つは、必ずしも一致するわけではありません。
自己呈示を考えることは、単に「どう見せるか」を工夫することだけではなく、自分の表現がどのような情報として相手に届き、どのように解釈されるのかを考えることでもあります。

仕事では、どのような印象が生まれている?
個人への印象は、仕事上の関係にも影響する。
仕事の場面でも、私たちは相手の言葉や振る舞いから、その人がどのような人物なのかを考えています。説明がわかりやすければ、信頼できる人だと感じるかもしれません。反対に、質問への答え方や何気ない態度から、話しにくい人だと感じることもあるでしょう。
もちろん、一度の言動だけで、その人の能力や人柄が決まるわけではありません。それでも、日々のやり取りから受ける印象が、相手との関係に影響することがあります。
この視点は、個人だけでなく企業や組織にも当てはまります。
- 営業・接客:担当者の言葉や態度から、会社の姿勢をどう感じるか。
- 採用活動:応募者は、採用担当者や募集情報から会社をどう捉えるか。
- 社内コミュニケーション:上司の何気ない一言を、部下はどのように受け取るか。
- 広報・コンテンツ制作:企業が選んだ言葉から、どのような会社の姿が伝わるか。
伝える側が意図したイメージと、受け手が抱く印象。その間にどのような関係があるのかを考えることは、仕事上のコミュニケーションや企業の発信を見直す手がかりになります。

シュプラノートの視点
「どうすれば好印象か」だけでは、見えてこないことがある。
コミュニケーション研修では、傾聴やアサーティブ・コミュニケーションなど、具体的な技法や伝え方の型を学ぶことも大切です。一方で、型を身につけるだけでは説明しきれない現象もあります。
なぜ、親しみやすく接したつもりが、失礼だと思われるのか。
なぜ、真剣に話を聞いているだけなのに、怖い印象を与えることがあるのか。
なぜ、相手の何気ない行動から、自分への評価まで推測してしまうのか。
シュプラノートでは、こうした身近な現象を題材に、言葉や振る舞いがどのように解釈され、印象がどのようにつくられるのかを考えます。
決まった正解を覚えるだけではなく、普段は当たり前だと思っているコミュニケーションを、別の角度から捉え直す。
「どう振る舞えばよいか」に加えて、「なぜ、そう受け取られるのか」を考える。 それが、シュプラノートの「自己呈示・印象形成」です。
自己呈示・印象形成について考える
このテーマでできること
自己呈示や印象形成について、身近な言葉や実際の仕事の場面を題材に考えます。
好印象を与えるための型を学ぶだけではなく、人が言葉や振る舞いから何を読み取り、どのように相手や組織の印象をつくるのか。その仕組みを考えるセミナー・研修や、企業が発信する言葉の検討につなげます。
このテーマを、セミナー・研修で考えてみませんか?
人は、言葉や振る舞いから何を読み取り、どのように相手の印象をつくるのか。
自己呈示・印象形成をテーマに、身近な事例や仕事上のコミュニケーションを題材に考えるセミナー・研修を行っています。
決まった型を覚えるだけではなく、日々のコミュニケーションを別の角度から捉え直す機会として、ご活用いただけます。
内容や実施形式についてのご相談も、お気軽にお問い合わせください。



