初めて目にする文章を、つっかえずにスムーズに読み進められる人と、噛んでしまう人がいます。前者は「初見に強い」と言われるタイプです。
ニュースキャスターでもない限り、その場で渡された資料を初見でスムーズに読めなくても、あまり支障はないように思えるかもしれません。ですが、私の話し方講座を通じて見えてきたのは、初見に強い人ほど、スマートで賢く見えるという事実です。
初見に弱い方は、“簡単なメモ”を用意することができず、まるで作文のような原稿を準備しがちです。例えば「ご自身の仕事について、3分ほどお話しください。メモを用意していただいて構いません」と伝えると、初見に弱い方は“メモを見ながら話す”のではなく、“作文を一字一句読む”ということをしてしまいます。そして本番では、その文章をスムーズに読めず、聞き手にとって集中しづらい時間を作ってしまうのです。
自分が初見に弱いと自覚できていない人ほど注意が必要です。専門知識があれば人前で話せると考えがちですが、事前に資料を音読する練習をしないまま本番を迎え、結果的に聞き取りにくい話し方になってしまうケースは少なくありません。
噛む原因は緊張ではなく「読み方の技術」
人前で資料を噛んでしまうと、「緊張していたからだ」と考える方が多いのですが、実はそれだけが原因とは限りません。緊張していてもスムーズに読める人はいますし、逆にリラックスした場面でも噛んでしまう人はいます。多くの場合、原因は精神面ではなく、文章の読み方そのものの技術にあります。
プレゼン原稿を噛まずに読むコツ3選
次の文章を、黙読と音読の2通りで読んでみてください。
来週はじめには沖縄の南に進んで沖縄の一部が暴風域に入る可能性があり、風雨や高波等の影響が出ることが考えられます。週末までに備えを済ませるようにしてください。その後の進路はまだ特定することが難しいため、今後の情報に注意してください。
音読より黙読の方が速く読めたはずです。特に漢字(熟語)は、字面をまるで絵のように一瞬で捉えられるからです。この違いを理解すると、初見に強い人がやっていることが見えてきます。
コツ1. 声より先の文章を目で追う「先読み」
初見に強い人は、声に出している単語よりも先の文章を目で追っています。「来週はじめには」と声に出している間に、初見に強い人はすでに「はじめには」を黙読し終え、「沖縄の」あたりまで目を進めています。
音読の基礎練習としては、口をしっかり開けて話す滑舌の練習も欠かせません。滑舌はクセの一種なので、話し慣れただけでは自然には改善しません。
コツ2. 句点で息継ぎをする
息継ぎのタイミングは、息が切れてからではなく、句点(。)で行うのが基本です。そして文の途中にある読点(、)を無視して話すのではなく、一旦止まります。話し手の呼吸にあわせて読んでしまうと、聞き手には情報量が多すぎたり、まとまりが悪くなったりして伝わりにくくなります。
「来週はじめには沖縄の南に進んで沖縄の一部が暴風域に入る可能性があり、」を例に考えてみましょう。ここには句点がまだ出てきていないので、息継ぎ自体はしません。ただし、「来週はじめには沖縄の南に進んで」で一度止め、「沖縄の一部が暴風域に入る可能性があり」に続ける、という間の置き方はできます。つまり、読点では息継ぎはせずに、ただ止めて一瞬間だけを置く。息継ぎそのものは、句点が来るまで待つ、ということです。一気に話すこと自体はできても、聞き取りやすさを考えて、あえて読点で一瞬「間」を置く判断をしているのです。
コツ3. 強調したい言葉の前で一瞬止める
聞き取りやすさだけでなく、強調したい言葉があるときは、その直前で一瞬「間」を置きます。これは覚えておくと使えるテクニックです。
内容を瞬時に理解できていないと、どこで区切り、どこを強調すべきかの判断はつきません。つまり、ただ文字を目で追って声に出しているのではなく、頭の中で内容を理解しながら読んでいる、ということです。

噛まずに読むための練習方法:滑舌トレーニング
特別な訓練は必要ありません。スマホやパソコンで読めるニュース記事を、1日1回、声に出して読んでみることから始めてみてください。台本や原稿ではなく、初めて見る文章を音読することがポイントです。
初見に強くなることは、単なる読み上げ技術ではなく、聞き手にとっての「聞きやすさ」と、話し手自身の「頼れる印象」の両方につながります。
まとめ:人前で噛まずに話すために
初見に強い人がやっていることは、次の3つです。
- 声より先の文章を目で追っている
- 句点で息継ぎをしている
- 強調したい言葉の前で一瞬止める
会議やプレゼンで資料をスムーズに読めるかどうかは、聞き手からの信頼感や印象を大きく左右します。こうした「話し方・読み方」の実践的なスキルを組織として底上げしたいとお考えの企業様は、ぜひシュプラノートの研修メニューをご覧ください。

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