言葉の意味は、辞書だけでは決まらない

私たちは、言葉をそのまま受け取っているようで、実際には、その場の状況や相手との関係、自分自身の経験や前提などを手がかりに意味を理解しています。

同じ言葉なのに、なぜ伝わり方が違うのか。言葉と文脈、そして人による受け取り方の違いから、コミュニケーションを考えます。

大丈夫

同じ言葉なのに、なぜ伝わり方が違う?

「大丈夫」「こだわり」「機会があれば」。
同じ言葉でも、使われる場面によって、 伝わるものは変わります。

誰が 誰に どんな場面で、その言葉を使ったのか。

言葉は、辞書に載っている意味だけで使われているわけではありません。

「前後の文章」だけが、文脈ではありません。

文脈というと、文章の前後にある言葉を思い浮かべるかもしれません。
けれど、会話の中で言葉の意味を理解するとき、私たちが手がかりにしているのは、それだけではありません。

誰が話しているのか。誰に話しているのか。どのような状況なのか。相手とどのような関係にあるのか。
さらに、これまでの経験や知識、互いに共有していると思っていることなども、言葉の受け取り方に関わります。

たとえば、同じ「大丈夫です」という言葉でも、体調を尋ねられたときと、何かを勧められたときでは、伝わる意味が異なることがあります。
言葉そのものは同じでも、言葉が置かれている状況は同じではないからです。

シュプラノートでは、言葉だけを切り取るのではなく、その言葉が使われた状況や、意味を理解する手がかりにも目を向けます。

同じ言葉なのに、同じようには伝わらない。

たとえば、「ちょっと考えておきます」という言葉。

言った人は、本当にこれから検討するつもりかもしれません。一方、聞いた人は「やんわり断られた」と受け取るかもしれません。

聞き手は、言葉そのものだけでなく、相手との関係やその場の状況、これまでの経験などを手がかりに、相手が何を伝えようとしているのかを理解しようとします。

そのため、同じ言葉を聞いても、人によって異なる解釈が生まれることがあります。

コミュニケーション

受け取り方を左右するもの

  • これまでの経験:過去に似た経験をしていると、そのときの記憶が、今回の言葉の受け取り方に影響することがあります。
  • 持っている知識:同じ言葉を聞いても、知っていることや思い浮かべるものが違えば、理解の仕方も変わります。
  • その人が持っている前提:「きっとこうだろう」「これはこういう意味だろう」という前提が、言葉の解釈を方向づけることがあります。
  • その場での期待:相手に何を期待しているかによって、同じ言葉から読み取るものが変わることがあります。

こうした要素は、いつも意識されているとは限りません。私たちは、自分が何を手がかりに言葉を理解したのかを、必ずしも自覚しているわけではないのです。

言葉の意味は、どう受け取られるのか。

コミュニケーション

「ペン、どこ?」

言葉そのものから考えれば、ペンの場所を尋ねています。

けれど、話し手がペンを使いたそうにしている場面なら、「ペンを貸してほしい」という意図が含まれていると受け取るかもしれません。

言葉に明示されていない意図まで、私たちは状況から読み取ることがあります。

アドバイス

「普通はこうしますよね」

この言葉を、一般的な方法を確認しているだけだと受け取る人もいれば、「自分のやり方は普通ではない」と指摘されたように感じる人もいるでしょう。

言葉の意味だけでなく、誰が、どのような関係の相手に、どんな場面で言ったのかによって、受け取り方は変わり得ます。

挨拶

「機会があれば」

また会いたいという前向きな気持ちを表していることもあれば、その場を穏やかに終えるための言葉(社交辞令としての挨拶でしかない場合)として使われることもあります。

言葉だけを見て、どちらの意味なのかを必ず判断できるわけではありません。

こうした例からわかるのは、言葉の意味がいつも一つに定まるわけではないということです。

言葉を理解するとき、私たちは何を手がかりにしているのか。なぜ、その意味だと判断したのか。

その過程に目を向けることで、普段は見過ごしているコミュニケーションの仕組みが見えてきます。

言葉は、使われる場面の中で意味を持つ。

哲学者ウィトゲンシュタインは「言語ゲーム」という考え方を示しました。

私たちは、言葉を辞書に書かれた意味だけで使っているわけではありません。言葉は、人々のやり取りや、その場での使われ方と結びついています。

たとえば、「お願いします」という言葉も、何かを依頼するとき、相手に対応してもらったとき、別れ際に挨拶として添えるときでは、使われ方が異なります。言葉が使われる場面によって、その役割や伝わる意味は変わるのです。こうした違いは、コミュニケーションの行き違いにも関係します。

話し手はある意味で伝えたつもりでも、聞き手は別の意味として理解することがあります。それぞれが置かれた状況や、持っている経験、知識、前提が異なるからです。

「そんなつもりじゃなかった」という行き違いが起きたとき、伝え方や聞き方だけでなく、互いがどのような前提で言葉を使い、受け取ったのかにも目を向けてみる。言葉が実際にどう使われ、どう理解されているのか。その視点から考えることで、コミュニケーションを別の角度から捉え直すことができます。

身近な言葉から、「なぜ?」を考える。

  • 「大丈夫です」は、実際に何を言おうとしているのか
  • 「こだわり」は、褒め言葉なのか、ネガティブな評価なのか
  • 「言わなくてもわかる」で、本当にわかり合える人とすれ違う人がいるのはなぜか
  • O型を「おおらかな人」と言う人と、「大雑把な人」と言う人がいる。その視点は?

身近な言葉や表現を手がかりに、意味や受け取られ方について考えるコラムを掲載しています。

言葉の「なぜ?」を、セミナー・講演で。

同じ言葉なのに、なぜ伝わり方が違うのか。言葉の意味は、どのように決まるのか。

普段何気なく使っている言葉を、少し違う角度から見てみる。身近な事例を手がかりに、言葉とコミュニケーションについて考える時間を、セミナー・講演としてお届けします。

こんなテーマでお話しできます

  • 同じ言葉なのに、なぜ違って伝わるのか
  • 言葉の意味は、どのように決まるのか
  • 丁寧な言葉遣いと、相手に伝わることは同じなのか
  • 「そんなつもりじゃなかった」が起こるのはなぜか

企業・団体向けのセミナーや講演について、テーマや実施形式に応じてご相談いただけます。