「言葉を大切に」とはよく言われますが、具体的にどういうことなのか、考えてみたことはあるでしょうか。
言葉を大切にする人と、そうでない人。その違いは、語彙の豊富さや、正しい敬語が使えるかどうかだけでは説明がつきません。今回は、「言葉を大切にする」ということの本質について考えていきます。
言葉そのものには、意味が固定されていない
「頑張って」という一言を思い浮かべてください。この四文字自体に、決まった意味が宿っているわけではありません。
疲れ切っている人にかける「頑張って」と、これから試合に臨む選手にかける「頑張って」では、同じ言葉でもまったく違う響きを持ちます。前者は時に、相手を追い詰める言葉にすらなり得ます。
つまり、言葉の意味は、言葉単体にあらかじめ備わっているものではなく、それが使われる場面や、話し手と聞き手の関係性の中で、そのつど立ち上がるものです。同じ言葉でも、誰が、いつ、どんな状況で使うかによって、まったく違う意味を持ちます。
「言葉を大切にする」というのは、この事実に自覚的であるということです。言葉を発する前に、「この言葉は、今のこの相手に、この場面で、どう届くだろうか」と一瞬でも想像すること。これが、言葉を大切にする人としない人を分ける、最初の違いです。
言葉を大切にする人に共通する行動
言葉を大切にする人には、いくつかの共通した行動が見られます。
- 決まり文句だけで済ませず、自分の言葉に言い換えようとする
- 相手の状況や気持ちを想像してから言葉を選ぶ
- 「なんとなく」ではなく、なぜその言葉を使うのかを説明できる
- 誤解を与えたときに、言葉の選び方を振り返る
いずれも、特別な才能ではなく、日々の小さな選択の積み重ねです。決まり文句を使うこと自体が悪いわけではありません。ただ、それしか持ち合わせていないと、相手や場面が変わったときに、言葉が届かなくなってしまいます。

なぜ言葉を大切にすることが、自分自身のためにもなるのか
言葉を大切にすることは、一見すると相手への配慮のように思えます。ですが、実は自分自身にとっても大きな意味があります。
言葉を選ぶという行為は、自分の考えを整理する行為でもあります。「なんとなくこう思う」という漠然とした感覚を、具体的な言葉に落とし込む過程で、自分自身の考えがはっきりしていきます。逆に、いつも同じ決まり文句で済ませていると、自分が本当は何を考え、何を感じているのかが、自分でも曖昧なままになってしまいます。
また、言葉を大切に選べる人は、周囲からの信頼を少しずつ積み上げていきます。一つひとつの言葉の選び方が、その人の誠実さや思考の丁寧さを、相手に伝えているからです。
日常でできること
言葉を大切にするために、特別な訓練は必要ありません。
例えば、いつも使っている相槌や返事を、一度だけ自分の言葉に置き換えてみる。「大丈夫です」で済ませず、「問題ありません」「そのままで結構です」など、状況に合った表現を選んでみる。これだけでも、言葉に対する意識は変わってきます。
大切なのは、言葉を「なんとなく」使う習慣から、「なぜこの言葉を選ぶのか」を意識する習慣へと、少しずつシフトしていくことです。

まとめ
言葉の大切さとは、言葉そのものに正解があるということではありません。言葉の意味は、それが使われる文脈の中で立ち上がるものであり、だからこそ、相手や場面に合わせて選び直す意識が求められます。
こうした「言葉と文脈を丁寧に扱う姿勢」は、シュプラノートが企業向けコミュニケーション研修で最も大切にしている考え方でもあります。組織のコミュニケーションの土台からじっくり見直したいとお考えの企業様は、ぜひシュプラノートの研修メニューをご覧ください。

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