会議やセミナーで質問をされたとき、自分の回答が的確だったか、不安になったことはないでしょうか。
質問に対してズレた回答をしてしまっても、その場で指摘してもらえることはほとんどありません。相手が「そういうことを聞いているんじゃないんだけどな」と思っていても、わざわざ本人にそれを伝える人は少ないからです。もし回答のあとに相手が一瞬コメントしづらそうな表情を見せたら、もしかするとズレていたサインかもしれません。
質問に的確に答えるために気をつけたいポイントを、実際にあった例とともに紹介します。
何を聞かれているかを理解する
ある経営者向けの勉強会で、講師がこんな質問をしたことがありました。
ヒト・モノ・カネのうち、現状足りていると思うものと、足りていないと感じるものは何ですか。
この質問は、実質的に「三択の中から選んでください」という質問です。ところが、一人目の回答者は「今の人数で回せないことはないけど、いたら助かる気はしますよね。モノに関しては……」と、ヒト・モノ・カネすべてについて長々と自分の考えを述べてしまいました。
講師はすぐに「ヒト・モノ・カネのワードで答えてくださいね」と軌道修正を入れました。これは、質問された項目(この場合は2つ:足りているものと足りていないもの)を正確に切り分けず、思いついたことを順番に話してしまった典型的な例です。
結論から先に述べ、そのあとに理由を添えるという順番を意識するだけで、こうしたズレはかなり防げます。
動詞に注目する
別の場面では、講師がこんな質問をしました。
今日の内容を振り返って、①決めたこと ②行動すること を教えてください。
ここでのポイントは「決める」「行動する」という動詞です。この2つの動詞に当てはめて考えると、答えるべき内容は自然と絞られます。
よくあるズレた回答は、「すごく勉強になったので、できることから挑戦していきたいと思います」というものです。「勉強になった」は感想であり、「決めたこと」への回答にはなっていません。「挑戦したい」も、具体的に何をするかが見えない、意気込みに近い言葉です。
質問の動詞が「思う・感じる」であれば感想を、「する」であれば具体的な行動を答える。これだけを意識すれば、回答のズレは大きく減らせます。
なぜ回答はズレてしまうのか
的外れな回答は、決して「不正解」というわけではありません。多くの場合、質問する側は正解を求めているのではなく、個人の考えや感じたことを聞きたいだけです。間違えること自体は、学びの場では気にする必要はありません。
問題は、質問した側が想定している「答えの枠組み」と、答える側が言葉にしている内容の枠組みが噛み合っていないことです。質問する側は「三択のどれか」「決めたことと行動の2つ」という枠組みを頭の中に持って質問していますが、答える側にはその枠組みが伝わりきっておらず、自分が話しやすい形で自由に答えてしまう。この枠組みのズレこそが、的外れな回答が生まれる正体です。
これは、質問した側の意図を正確に読み取る「聞く力」と、自分の考えをその枠組みに沿って整理し直す「言葉にする力」の、両方が試されている場面だと言えます。特にビジネスの会議やプレゼンでは、聞かれたことに正確に答えられるかどうかが、その人の評価にそのまま直結します。

まとめ
質問に的確に答えるためには、次の2点を意識してみてください。
- 何を聞かれているかを正確に理解する(選択肢は何個あるか、何が問われているか)
- 質問に含まれる動詞に注目する
質問と回答がかみ合わないのは、地頭の良し悪しではなく、多くの場合、相手の質問の枠組みを正確に捉えられていないだけです。裏を返せば、意識するだけで誰でも改善できるスキルでもあります。
こうした「相手の意図を正確に読み取り、的確に言葉で返す」力は、会議・商談・プレゼンなど、あらゆるビジネスシーンで信頼を左右します。組織としてこうした力を体系的に鍛えたいとお考えの企業様は、ぜひシュプラノートの研修メニューをご覧ください。


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